セミリタイアするまで非正規

正社員になれないことが分かった三十代。労働者のままでは死にかねないので、非正規のままセミリタイアを目指している、色んな意味で駄目なヤツ。

『結局、自分のことしか考えない人たち』 パーソナリティ障害に対処するだけでなく、その理不尽さを理解したい人に

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出版:2020年2月

著者:サンディ・ホチキス氏 ― 心理学博士、精神分析医、後任臨床ソーシャルワーカー。セラピストの活動歴は30年以上で、専門はパーソナリティ障害。

 

 

パーソナリティ障害以外の人たちに向けた邦題となっているが、原題はパーソナリティ障害本人に宛てたものであり、違いが見られる。その原題にある"The Seven Deadly Sins of  Narcissim" というのが、以下の7つの特徴とされている。

  • を知らない
  • 歪曲して、幻想をつくり出す
  • 傲慢な態度で見下す
  • ねたみの対象をこきおろす
  • 特別扱いを求める
  • 他者を平気で利用する
  • 相手を自分の一部とみなす

※文章および太字箇所は本書裏表紙より抜粋

 

以上がパーソナリティ障害に現れる特徴であり、7つの大罪というわけ。

本書はパーソナリティ障害を「自己愛」と表現し、自己愛人間ができる原因、自己愛人間との付き合い方(身の守り方)、自己愛人間の種類、といった目次になっている。本文でも「自己愛」を使っている。似たような記述がチラホラ見受けられる欠点はあるけれど、文章は平易でページ数も多くないのでサラッと読める。著者の元に訪れた実際の患者モデルも混じえた解説文は読みやすく、パーソナリティ障害について知識が少ない人や、理不尽な言動を疑問に思っていた人には、面白く読めると思う。

 

 

私がこの本を読もうと思ったきっかけは邦題の通り、パーソナリティ障害と思われる人たちの行動原理を少しでも理解し、少しでも上手く対処できるようになりたかったからだ。バイト先で非常識な客が多く、来店予約を無言でキャンセル、無関係な人間に延々と愚痴る典型的クレーマー、相手の話を聞かない、偉そうに講釈を垂れ間違いを指摘されると電話ガチャ切り、酔って呂律が回ってないのに内容を聞き返すとキレる、用もないのに電話してきて好みの女性に代われと要求する… etc.

また、学校や職場など実際の付き合いでも同じような傾向のある人間が数名いたが、何故かその手の人間から目の敵にされやすく、私も対処法が全く分からないので、不愉快な思いをしたことが何度もあった。

 

 

 

上述した7つの大罪のうち、最後にある「相手を自分の一部とみなす」についてだけ触れたい。

本書ではパーソナリティ障害に共通する特徴として、2歳児から成長しておらず自己と他者の分離ができていない、そのため「相手を自分の一部とみなす」傾向があると指摘している。また、様々なタイプのパーソナリティ障害との付き合い方を「戦略」としているのだが、その戦略に共通するものとして、自分は他者と異なる存在であることをハッキリと自覚すること、を挙げている。言い換えれば、私はパーソナリティ人間の一部ではないですよ、ということだ。しかし、この戦略を態度に出したりしてパーソナリティ人間に悟られると、それはそれで厄介なことになるらしい。あくまで相手を刺激しない程度に、ということだ。難しい。

パーソナリティ障害の特徴が未成熟(本書によると2歳児のまま)だとすると、いくつかの疑問は解決する。私がその手の人間から憎まれる理由は、私が子供の相手をするのが苦手であることと関係があるのかも。強引に年齢相応の人間として接していたのが、ダメだったのだろうか。また、パーソナリティ障害に比較的お年寄りが多く感じるのは、認知症の特徴である幼児退行と関係があるのかもしれない。

 

 

 

ちなみに、Na-tu-Xaが本書を読んで最も印象に残ったのは…

・幻覚剤、麻薬、覚せい剤は、幼児退行を追体験する手段でもある

・ブラックでも従業員が必死に働く職場は、経営者がパーソナリティ障害の可能性がある

 

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