セミリタイアするまで非正規

正社員になれないことが分かった三十代。労働者のままでは死にかねないので、非正規のままセミリタイアを目指している、色んな意味で駄目なヤツ。

「わたしと年金」エッセイなる年金制度啓蒙活動の話

偶然、こんな面白い企画があることを知った。

 

日本年金機構が毎年開催している、「わたしと年金」エッセイコンテスト

www.nenkin.go.jp

「わたしとお米」ならぬ、「わたしと年金」なるエッセイ企画。「国民の皆さまに年金制度に対する理解を深めていただくため、公的年金制度の普及や啓発活動」の一環として毎年開催されているらしい。過去の受賞作品も読むことができる。

 

「わたしと年金」エッセイコンテストの受賞作品を(一部)読んでみた

ただ… 受賞作品はどれもこれも、年金制度に感謝し継続や普及を促す意見のものばかりである。(何となく想像はつくだろうが)例えば令和元年度の受賞者なんだけど、

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以上の顔ぶれ。全部で10人の受賞者がいたことになる。

まず、受賞者の半分が年金を支払ったことの無い高校生である。誤解の無いように書いておくけれど、直接関係がないにも関わらず、あるいは遺族年金受給という逆境にも負けずに、年金制度のことをきちんと調べている姿勢は素晴らしいものだし、彼らならではの視点で年金制度を考えることも、私を含むその他大勢の「一般的な労働者」には必要なことだ。

それを承知の上で言わせてもらうと、本来なら労働者が最も関係するはずの制度に関するエッセイ募集に、労働経験がなく純粋故に制度にも比較的ポジティブな意見を持ちやすい年代の作品を、さも国民見解の総意かの如く表彰するのは、非正規の薄給からシコシコ満額払っている自分からすると不満が無いこともない。しかも、高校生にして遺族年金受給者(つまり10代で家族の誰かを亡くしている)のエッセイを「立派でしょ?表彰に値するでしょ?」と言われちゃあ… 何も言い返せないじゃないか!いや全くその通りだよ、その子の言ってることは正しいよっ!!!(泣)

次に多いのが50~60代のシニア層。年金を貰い始めている人の作品も多い。共通しているのは、生活に余裕がある人たちということだ。将来、年金を貰えない心配もない(あるいは少ない)。苦労して働いてきた見返りなのだから、彼らは至極当たり前の感想(年金に感謝)を書いているに過ぎないんだけれど、苦労して働いているのは現在の働き盛り世代も同じなわけで、かつ支払額は上がっているのに年金制度を利用できるか分からない状況なわけで… 正直、「あ、そっすか、幸せそうで何よりです、ハイ」という以上の感想を持つのが難しい作品も多い。

高校生が多いのは、恐らく学校で課題として書かされたってのもあるんだろう。働き盛りの受賞者が少ないのは、年金を払うため働くのに必死でエッセイを書く暇がないという事情があるんだろう。(私も今日まで知らなかったし)ただ、働き盛りの意見はお求めでないんだろうか… という疑念は拭えない。

 

エッセイとはいえ、「少数派の意見」で共感しろと言われても難しい

20~40代の働き盛りの受賞者もいないことは無い。が、私が読んだ限りだと遺族年金や障害年金の話題ばかり。確かに、言われるがままに収め続けて年金への不満が溜まっていると、イザというときのセーフティネットであるこの2種類の年金の存在は忘れがちだ。その重要性を再認識でいるという点では、受賞に値する作品ばかりである。

ただ… 読みたいのはそこじゃねぇんだよぉぉぉ!!!(笑)

いや、遺族年金は成熟した社会の象徴でもある素晴らしい制度だよ?障害年金を貰いながら生活している人は苦労が多くて大変だと思うよ?でも、その2種類の年金に当てはまる人は絶対数でいえば少数派なの!関係ない人もたくさんいるの!だから、その2種類の年金に当てはまらない人の、つまり私と同じ境遇である人たちの年金制度に対するナマの声(つまりエッセイ)が読みたいの! 

貧乏具合でいえば私だって似たり寄ったりなのに、成人済みでかつ健康な独身である限りこれらのセーフティネットを使うことはできない。なのに、そんな切れてしまった蜘蛛の糸を天に高々と掲げ上げて、「これを見れば年金の素晴らしさが理解できますよ!」と言われても、手が届かないから反応に困るのだ。強いて言うなら「私が成人するまで存命で働き続けてくれた両親には大変感謝しています」という感想ならもてるけど、それは年金制度カンケーないし。

 

気になった方は、ぜひ全作品を読んでみてください

まあ、そういう理由で面白いコンテストの紹介記事でした。

ちなみに、受賞作品の一部しか読んでいないので、私に近い意見を持つ人の作品が過去に表彰されていても、見落としている可能性が大いにあります。本当なら全受賞作品を読んでから記事にするべきなんだけど、令和元年の作品だけでセンスが合わなくてお腹いっぱいで力尽きてしまった。力不足…

ちなみに、このコンテストに対するナマの声は簡単に聞くことができる。

 

 

少なくとも、年金制度反対派の意見は。

 

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