セミリタイアするまで非正規

正社員になれないことが分かった三十代。労働者のままでは死にかねないので、非正規のままセミリタイアを目指している、色んな意味で駄目なヤツ。

新婚者への給付金額が増額されますよ

私には関係ないけれど、往来の給付制度がパワーアップされるとのこと。

www.sankeibiz.jp

 

この制度、正式名称は「結婚新生活支援事業」。

内閣府が行う少子化対策の一環という位置づけになっている。

詳細はこのページから確認できる。

www8.cao.go.jp

 

例の如く、ヤフーニュースのコメント欄は賛否両論(主に否)。

今回の決定自体は、制度の認知度が上がるので良いことだと思う。実際、各新聞社がトップ記事にしているし、ツイッターでも盛り上がっている。これを機に、結婚に踏み切れる人が増えるのは嬉しいことだ。

ただ、内閣府のページを見るだけではこの事業の効果がよく分からないし、疑問ばかりが膨らんでいく。それを今回の記事にするのだけれど、暇な人はぜひ、内閣府のHPも直接見て欲しい。

ここからは、この制度が子供を育てる予定のある(あるいは既にいる)新婚夫婦を対象としている、という前提で話を進めていく。

 

 

対象地域が少ない

まず、東京都民はこの制度を使えない

…これだけで十分ネタになりますね、はい。理由は、東京都内にこの事業を実施している地域が一カ所もないから。ちなみに、福井県と広島県も同様。

じゃあ何処でやってんねんといいますと、例えば首都圏なら東京以外の全ての県(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県、山梨県)。但し、県によっては対象地域はかなり限定的。例えば千葉県だと、県庁所在地がある千葉市を始め11の地域が対象になっている。

一方で埼玉県の対象地域は、鴻巣市、吉見町、長瀞町、美里町の4地域のみで、人が集中する南の地域(東京方面)は該当なし。というか、群馬県に近い北の方でしか使えない。ちなみに、鴻巣は都内から鈍行電車(高崎線)で草津温泉に行こうとすると通過する駅の一つだったりする。

その他の県も数も対象地域もバラバラで、地方都市が充実している訳でもなく、過疎に悩んでいる地域が多いわけでもなく、強いて言うなら北海道と長野県なら使える場所多いよ、ってくらいか。

えーと、子供を育てるために労働ないし仕事が必要な新婚夫婦にとっては、地域が限定されると使いづらいと思うんだけど、気のせい?

 

対象となる年収が低い(夫婦所得340万円未満、年収換算で約530万円未満)

この年収換算値は内閣HPに掲載されているもので、産経の記事では480万円未満となっているので、ご注意を。

どっちにしても、これから子育てをする(あるいは既に子供がいる)2人組としては、収入が低すぎやしないか? 1人当たり年収270万円(あるいは240万円)ってことだよね? どれくら低いかっていうと、万年非正規かつ独身の私とあまり変わらない。結婚したとしても、子育ての前に自分たちの生活を確保するので精一杯だろう。つまり、対象となる世帯が、少子化対策という目的とかみ合っていない

今回の制度見直しで緩和されるらしいけど、それでも年収540万円未満。えぇぇ、少ないって… 漠然としか想像できないけど、子育てを考える世帯なら最低でも年収700万円までは対象にしないと効果が薄い気がする(正社員共働きで、お互いに年収350万円として)

少なくとも、本気で貧乏夫婦を対象にしたいなら、給付金額を60万円に増やしたところで全く足りない。家賃半年分で無くなる金額で、どう子育てをしろと。持家なんか持ってないだろうし。

 

 

年齢制限がある

婚姻日に夫婦のどちらかが34歳を超えていると、この制度は使えなくなる。

これも制度見直しで39歳以下対象に緩和されるらしい。

まあ、これは仕方ないか。あくまで少子化対策が目的だからね。個人的に年齢神話は嫌いなんだけれど、出産に関しては両親の年齢も考慮しないと子供の人生に関わることだからねぇ、難しい。

ところで、同性婚はどうなるんだろう?

 

 

対象となるのが新居に関する費用のみ

少子化対策が目的じゃないんかい!と思わずツッコミを入れそうになるが、補助対象となるのは新居の購入、新居の賃貸、新居への引っ越しに関する費用。結婚して現在の住居で子育てします、という新婚夫婦は対象外。なんじゃそら。

せめて対象地域をもっと厳選して地方の過疎化対策を並行すれば良いのに。いや、そもそも対象世帯の収入額では移住も考えづらいか。

 

 

少子化の背景を理解していない

上でも対象世帯がおかしい、60万円じゃ子育てには足りないと書いたけれど、内閣府のおじいちゃんたちが少子化の理由を分かっていない可能性もある。庶民としては何を今さらだけれど、雇用の不安定化による貧困世帯の増加と結婚子育てへの無関心、これらの進行が原因である。後者は置いといて前者は国レベルの対策が必要だし、今回の制度見直しもその一環なのだろう。

内閣府のHPに掲載されている事業概要(PDF形式のやつ)によると、「結婚を希望する人に対して、行政に実施してほしい取組」に「結婚や住宅に関する資金貸与や補助支援」を希望する新婚世帯が多く、「結婚のための住居」費不足が理由で結婚に踏み切れない未婚の男女が1-2割存在する、という調査結果が報告されている。そんな人たちの結婚を後押しするための支援なのだ、と。それは良い。

ただ、実は「結婚を希望する人に対して、行政に実施してほしい取組」の上位2つは「安定した雇用機会の提供」「夫婦がともに働き続けられるような職場環境の充実」。どちらも雇用の不安定化を解消して欲しいというもので、資金補助以上に望まれていることなのに、言及なし。また、「結婚資金」不足が理由で結婚に踏み切れない未婚の男女が4割存在すると掲載しておきながら、「結婚資金」の具体的な内容についても言及なし。(結婚式の資金が足りない、と子育てをする資金が足りない、では深刻度が全く違う)

もちろん、今回の支援制度とは関係ないから何も書かれていない、というのもあるだろう。では、少子化対策を目的とする雇用の不安定化を解消するための別の制度はあるのだろうか。雇用の不安定化が解決しておらず少子化が悪化している現状を考えると、そんな制度はない、もしくは、あるとしても機能していないと考えるのが妥当だ。

というわけで、少子化の最大の原因が雇用の不安定化であることを、補助する側が理解していない可能性が高い、という結論になった。まあ、雇用を安定化させちゃうと色々と困ったことになるから無視してるというのが現実なんだろうけど、証拠もないし、今回は政治家のおじいちゃんたちが時代に追いついてないのが悪いということで。

 

まとめ

初めて知る制度だったので、内容を確認しつつ思ったことを書き殴ったけれど。

何千文字書いたところで、NatuXaには全く関係のない制度なんだよね!

チャンチャン♪

 

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