セミリタイアするまで非正規

正社員になれないことが分かった三十代。労働者のままでは死にかねないので、非正規のままセミリタイアを目指している、色んな意味で駄目なヤツ。

『本当はごはんを作るのが好きなのに、しんどくなった人たちへ』を読んだ

 購読させていただいているブログで紹介されていたので読んでみました。

 著者のコウケンテツさんはyoutubeでレシピを公開していて、簡単に美味しく作れるものが多い。私も助かっている。

 

 コウケンテツさんは海外の食文化を勉強したり、講演で色んな人の意見を聞いたり、子育ての経験などから、1日3食ともきちんと食べるのは本当に必要なのか? 海外のようにお弁当は詰めるだけでも良いんじゃないか? 子供が嫌がる食材を無理やり食べさせなくても良いんじゃないか? など、家庭料理は「こうあるべき」という固定観念にどんどん疑問を抱くようになっていったらしい。そして、その固定観念に、自分自身や日本中のママさんパパさんが苦しめられているんじゃないか、と。

 コウケンテツさんは料理研究家なので、レシピもたくさん発表しているんだけれど、そもそも「レシピ本は人を幸せにするのか」という苦悩もあったようで、

 

 新しいレシピを紹介すればするほど、レシピ本を出せば出すほど、日々耐えながらごはんを作っているみなさんを、さらに過酷で孤独な戦いの場に送りだしてしまっているのではないか。

 

 と、書かれている。「毎日の食事作りがしんどい。私はどうすれば?」という相談も多いそうだ。レシピが多すぎるのは私も以前から感じていて、自炊の機会が多い割には基本的なレシピや調理方法を知らなかったり、たった1食のレシピ検索に時間をかけすぎてグッタリしてしまい、ハッとすることもある。

 

 また、例えばフランス人は自分が楽しくないことは家事であっても無理にやらない、という精神があるとのこと。(海外に専業の家事労働者が少ないのもあるが)

 コウケンテツさんも、あるフランス人女性に栄養バランスがイマイチでは?と意見したら「家で料理ばっかり作っていたら、私のサンシャインが輝かないじゃない」と返されている。日本人には無い考え方だ。自己犠牲で家族に尽くすのも立派だけど、そのせいでツイッターやブログに「ダンナ、憎し!」なんて呪詛を書き連ねるくらいなら、フランス人の個人主義思想を取り入れた方がお互いのためになりそうだ。

 子供がいる人は、料理研究家のプロが市販品に敗北する「31 コンビニのみかんゼリーに勝てない料理のプロたちの悲哀」「32 お惣菜コロッケと手作りラーメン」のページもオススメ。笑えます。大人が食べても市販品(というか、化学調味料)は旨いしね。

 

 

 ちなみに私自身の話を書くと、実家に戻ってから家族(専業主婦)の分も含めて夕飯を作ることが増えて、「毎日違うレシピじゃないとイヤだ、鶏肉はイヤだ、マズイ、量が少ない(と言う割には残す)、品数が少ない、etc...」と要求されて困っている。

 雇われ労働者だった頃は、平日用に手軽で栄養が万遍なく摂取できる献立を決めておき、休日だけ好きな物を食べる、という生活。そうやって食事管理をしていたのに、実家に戻ってからは毎日違うレシピを探してきて、夕飯で摂れない栄養素は朝食と昼食で補って… と食生活が一変してしまったので、けっこう疲れていた。

 でも、この本を読んだら気が楽になった。私は生活費を自分で稼がなくてはいけないし、そうした生活に適した食事をずっと続けてきたのだし、家事よりも優先して時間を使いたいことが沢山ある。専業の家事労働者とは、全く生活スタイルが異なるのだから、彼らが満足できる家庭料理なんか用意できなくて当たり前なのだ。さすがに「私のサンシャインが輝かないじゃない!」とは言えないけど(笑)、「今日はやりたいことあるから、簡単なものでいい?」くらいなら許してもらおうかな。

 それから、食事管理についても栄養素を過不足なく摂ることを優先して、身体に悪いけど好きな食べ物を我慢し続けたり、栄養素の計算にやたらと時間をかけたりして、自分を追い込んでしまうことも多くなっていた。だから、食事管理が嫌になって辞めてしまわないためにも、週に1日くらいは栄養のことを考えず、好きな物を好きなように食べて過ごしてみようかな。