セミリタイアするまで非正規

正社員になれないことが分かった三十代。労働者のままでは死にかねないので、非正規のままセミリタイアを目指している、色んな意味で駄目なヤツ。

kindle unlimited でロシア史のお勉強

kindle unlimited で「ロシア 歴史」と検索して出てきた本を読んだ。

 

 まずは、『大尉の娘』。プーシキンの超有名小説。実際にプガチョフの乱(1773~75年)の資料を基にして書かれたもの。

 登場人物が個性豊かで面白い。人間臭いプガチョフ、分かりやすい悪役のシヴァーブリン、最初は頼りないけど最終的には女帝エカテリーナに認められて主人公を救い出すヒロインのマリヤ。(タイトルの『大尉の娘』はマリヤのこと)一番好きなのは従者のサヴェーリイチかなー、忠誠は守るけど言うことは言うしやるときはやる素敵なじい様ですよ。

 文庫サイズで200ページ以内という薄さもあるけど、テンポ良く話が進むのであっという間に読んでしまった。解説にも「娯楽文学のすべての基準を満たしている」(p205)とあったけど、その通りだと思う。純文学にありがちな、長ったらしい情景描写や心情吐露や薀蓄披露が苦手な人でも読みやすいと思う。

 

 次は『氷雪のバイカル』。これは、ロシア革命時(1918年)をイルクーツクというシベリアの街で過ごした佐賀進さんの実話。(本にしたのは、息子の佐賀純一氏)。

 当時のロシアはモノが無くて医療もまともにできない状態だったらしい。佐賀一家は、道中や近所の親切なロシア人や、同じ地域に住む日本人たちに助けられながら、暮らしていく。戦闘が日常的になるのは終盤(父親を除く佐賀一家の帰国直前)だが、佐賀純一氏が補足している資料や当時の大人たちの会話を読むと、かなり危険な状況だったようだ。

 そんな中でも、当時のロシアの日常や文化を子供の目で純粋に捉えた体験談は貴重だ。やっぱり冬は猛烈に寒い、というか日光が殆ど出ないらしいけど、たまーにお日様が顔を出すと空気中の凍った水分が反射して(ダイヤモンドダスト?)、それは素敵な光景らしい。ロシアの子供たちも、大戦中の極寒という厳しい状況でも元気に遊び回っていたようだ。そういうのって、歴史資料には載ってないもんね。

 

 最後に『赤い誠』。これは、ソ連崩壊直前(1988年)にソ連で働いていた商社マンと、「平等を重視する社会主義の理想を実現したい」と語るソ連人(彼はKGBの一員となる)による、日本とソ連(ロシア)の歴史・文化史的対話を中心とした、実話に基づく小説(エッセイに近いけど)。

 ビジネスマンとKGBの組み合わせなので、裏事情(夜の文化など)も聞けて面白い。ロシアから見た日本の問題点なども書かれているけど、大体が現在になっても解決してないという(笑)。

 

 番外編として、共産主義国家だった1979年のポーランドに派遣されたサラリーマンのエッセイもある。

 こっちはお固い話は少なく、当時から変わらない日本企業の保守的体質に対する愚痴もあるし、共産主義国のガイドブック感覚でも読める(と言っても40年前の話なので、今は役に立たないけどw)