(不)完全食を自作
健康ドリンクのようにお手軽な、完全食のような何かを自作しような記事です。
- 一食で必要な栄養全種類が補える「完全食」
- 完全食の欠点その1。身体には優しいけど財布には優しくない。
- 完全食の欠点その2。完全であるが故に、栄養素の細かい調整が大変。
- 完全食の欠点その3。普通のごはんも食べたい。
- 自作の完全食レシピは、ググれば見つかる
- 自分だけにピッタリな、オリジナル(不)完全食の作り方
- これからの課題
一食で必要な栄養全種類が補える「完全食」
一杯、あるいは一食で必須栄養素が摂取できる「完全食」というものがあります。
じゃっかんディストピア感が漂う気がしますが、栄養不足を簡単に補える素晴らしいアイテムです。
こちら、ドリンクタイプの完全食「COMP」です。
こっちはパスタ感覚の完全食「BASE PASTA」です。一食分で補える栄養素は一日に必要な量の1/3なので、朝・昼・晩を3食ともこれにすれば、一日分になる計算です。(が、実際はそこまで単純ではなかったりします)
どっちも2016年頃に登場したニューフェイスで、非健康マニア層の中での知名度はまだまだなので、これからの普及に期待です。
この手のアイテムの先駆けはアメリカの「Soylent(ソイレント)」です。
こっちは有名ですかね。日本じゃ買えないけどね。
ちなみに、WIRED.jpでソイレントの誕生譚が読めます。
完全食の欠点その1。身体には優しいけど財布には優しくない。
大変便利な未来アイテム「完全食」ですが、COMPもBASE PASTAも単純にカロリーベースで考えると、一日分で1500円ほど必要です。
1食だけ置き換えるのが現実的な使い方なんでしょうが、それでも1食500円。で、足りない分は普通の食事で補わなくてはならないので、そうすると立場としては「完全食」というより「栄養補助食品」になってきます。
が、外食よりは安いですし(ジャンクフードには負けるけど)、ワンコインである程度の必須栄養素とカロリーを補えるのは楽です。
完全食の欠点その2。完全であるが故に、栄養素の細かい調整が大変。
ここからは栄養の話になってきます。
私は栄養学に関しては門外漢なので、以下のデータは全てこちらを参考にします。
はい、厚労省様の公式HPです。日本人が一日に必要とする栄養素の平均値を、グラフ化して公開されています。性別・年齢別・あと妊婦さんも別表記になっていて、大変見やすいです。更新が遅め(5年に1回)な点が少し気になりますが。
で、完全食のもう1つの欠点です。
完全食は必須栄養素の全てが含まれていて便利なアイテムなのですが、逆にそのせいで必須ミネラル摂取量の細かい調整が難しくなっています。
例えば、海外のサプリメントは「鉄分あり」と「鉄分なし」のものを、別々に販売しているブランドがあります。また、国内のサプリメント(ネイチャーメイドとかディアナチュラ)には、必須栄養素の1つである「ヨウ素」が含まれていません。
それは、鉄もヨウ素も過剰摂取による副作用が報告されているからです。
「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書によりますと、鉄の場合は
酸化促進剤として作用し、組織や器官に炎症をもたらし、肝臓がんや心臓血管系疾患のリスクを高める。特に、赤身肉からのヘム鉄の過剰摂取がメタボリックシンドロームや心臓血管系疾患のリスクを上昇させるという報告もある。
とあります。
また、ヨウ素は
日常的にヨウ素を過剰摂取すると、甲状腺でのヨウ素の有機化反応が阻害されるが、甲状腺へのヨウ素輸送が低下する“脱出(escape)”現象が起こり、甲状腺ホルモンの生成量は正常範囲に維持される。日本人の場合は、ヨウ素摂取の形態が極めて特異的であり、恐らく脱出現象が成立し、ヨウ素過剰摂取の影響を受けにくいと考えられる。しかし、脱出現象が成立していても、大量にヨウ素を摂取すれば、甲状腺ホルモン合成量は低下し、軽度の場合には甲状腺機能低下、重度の場合には甲状腺腫が発生する 。
とあります。ちなみに「日本人の場合は、ヨウ素摂取の形態が極めて特異的」というのは、ヨウ素が豊富に含まれる海藻類(海苔、昆布、ワカメ)を日常的に食べていることを指しています。国内のサプリメントにヨウ素が含まれていないのは、この食生活が理由となっていると考えられます。逆に海藻を食べる習慣がない欧米のサプリメントには、ヨウ素が必要というわけです。
鉄とヨウ素のほかにも亜鉛や銅やカルシウムの摂りすぎも良くないとされています。もちろん、炭水化物や脂質はいうまでもなく。なんでもやり過ぎは良くないということです。
で、完全食の話に戻りますと、たとえば「今日は焼き鳥を食べに行くから鉄分は控えないと」とか、「めかぶ食べちゃったからヨウ素はやめとこうかな」みたいなことが出来ません。全部1食分に入っちゃってるんで。
(ちなみに、めかぶは市販の1パックに1日分のヨウ素が含まれていたりします。)
あと、含まれている栄養素の割合もけっこうばらつきがあります。例えばBASE PASTA1食分ですと、タンパク質やビタミンCは1日に必要な量の1/3が入っていますが、鉄分は約9割、銅も5割入っています。1日に2食だと鉄分が多すぎるので、足りない栄養素を別の食べ物で補うことになりますが、前述のようにそれだと「完全食」ではなく「栄養補助食品」…
あとは細かいことを気にせず食べちゃうか。ちなみにCOMPも同じかんじです。
完全食の欠点その3。普通のごはんも食べたい。
最後に何を今さらな欠点。完全食を始めるなら、その他の食事量は減らさなくてはいけません。
完全食には生活習慣病の原因になりやすい炭水化物と脂質もちゃんと含まれています。(BASE PASTAは脂質は1食8.3gと控えめです。あとCOMPには塩分もそれなりに入っています。)それがなかったら「完全食」にならないしね。カロリー換算しますと、1食で400~500kcalです。一般的な人ならば、食事の1回は抜くことになるはず。食べ過ぎな人はもっと減らさないと駄目かも。
というわけで、特にお米・パン・麺が大好きな人は、好物を食べる機会が減るということもお忘れなく。
自作の完全食レシピは、ググれば見つかる
というわけで完全食も完全ではないので、COMPやBASE PASTAじゃ何かしら不満がある場合は、自作するしかありません。現時点ではこのWikiが最も参考になるかと思います。
味重視のElixir、値段重視PFJの2種類があります。
Wikiにもあります通り、経済的にCOMPは厳しいという人向けの内容です。使っている材料とその成分までキッチリ纏められているので、アレンジもしやすく、おススメです。あと、日本では馴染みの薄い「コリン」もレシピに含まれています。(厚労省の「日本人の食事摂取基準」にも入ってない)
ただ、このWikiも万人向けではないです。
まず、「完全食」のレシピであるため主食代わりとなることが前提、つまり炭水化物や脂質も豊富に含まれています。(レシピでは上新粉や玄米粉が使われています) ご飯・パン・麺をよく食べる方は食事制限が必要です。
次に、レシピにネイチャーメイドのスーパーマルチビタミン&ミネラル2錠が含まれているため、ミネラル系の摂取量が基準値を超えています。ビタミンと違ってミネラルは摂りすぎによる副作用が心配です。
また、味の調節のために添加物のサッカリンや、キサンタンガム、大豆レシチンを使用しています。どれも毒性はないとされています(過去に毒性が報告されたサッカリンについてはWikiでも触れられています)が、あくまで「現時点ではただちに影響が見受けられない」という程度なので。添加物の世界も常識がコロコロ変わりますからね… というわけで、気になる人は気になるでしょう。
ちなみに安さ重視レシピは1日分で約500円だそうです。COMPの1/3です。
いつか誰かが、安くて美味しい素敵な完全食を発明してくれるといいですね。
自分だけにピッタリな、オリジナル(不)完全食の作り方
とりあえず、世紀の大発明がいつになるか分からないので、自分で作ってしまいましょう。自分にピッタリの食事メニューを一つ作っておきますと、栄養管理がとても楽になります。
せっかくなのでWikiの完全食レシピを拝借し、アレンジするのが手っ取り早いと思います。そのアレンジ方法を色々調べていますので、報告がてら紹介していきます。必要な量は人によって違いますんで、厚労省HPの「日本人の食事摂取基準」を参照してください。
(不)完全食自体は健康ドリンク的なものになります。このドリンクと併せて、普通の食材で栄養を補うかたちを想定しています。本物の完全食と比べると不便で面倒な点もありますが、体調や趣味嗜好に合わせて自由な食事をしたい方にお勧めです。食材選びのルールは以下の3つです。
・ルールその1:調理が不要なものだけ(玄米のみ特別に採用)
・ルールその2:添加物は出来るだけ避ける
・ルールその3:国内で市販されているものだけ。Amazonは使う
・必ず使うもの
ミキサー、水(+果物)、マルチビタミン&ミネラルの3つです。ミキサーで水と(不)完全食の原料を混ぜて、好きなタイミングで飲んでください。また、ミネラルとビタミン系は食事で補うのが面倒&出費がかさむので、サプリメントにしています。(ミネラルはサプリメント以外の方法を模索中です)
ミネラルウォーターなどの真水に、甘味料として果物(バナナやリンゴがお勧め)をミキサーするのが理想ですが、飽きたら牛乳やフルーツジュースでも。ただ、基本はミネラルウォーターです。飽きて辞めるぐらいだったらたまにはジュースも使ってみよっかな、という感覚で。
・タンパク質
プロテインがお勧めです。大豆か乳かは体質に合う方で。
食事で摂るなら肉や魚や乳製品になりますが、かなりお金がかかります。安くてn-3系脂肪酸とカルシウムも一緒に摂れる、サバ缶がおすすめです。
ごま油などに含まれます。気にならなければドリンクに混ぜてもいいけど、食事にかけて摂取するのが無難です。
EPAとDHAが豊富な、青魚の缶詰がお勧めです。EPAは脳の健康にも良いと言われています。一番安いのはサバ缶で、タンパク質とカルシウムも豊富です。
魚が苦手ならフィッシュオイルのサプリメントもあります。あるいはα-リノレン酸が豊富な亜麻仁油という手もありますが、値段が高いです。
・食物繊維
水溶性と不溶性の2種類を、1:2の割合で摂るのが良いとされています。水溶性はデキストリン、不溶性はセルロースの粉末がありますので、(不)完全食に混ぜて一緒に飲んじゃうのがお勧めです。
食事で摂るなら、水溶性は果物(プルーンジュースがお勧め、飲み過ぎに注意)がお手軽。不溶性は玄米やふすま系のパンのほか、大豆系プロテインにも含まれます。
・カルシウム
食事でカルシウム単体を補うのは難しいので、プロテインやサバ缶で一緒に摂取しちゃうのがお手軽です。あとは(不)完全食を牛乳で作るとか、お菓子をチーズに変えるとか。
・ヨウ素
めかぶでOK。
・カリウム
本来は不足しない栄養素…らしいのですが、食事制限やそれに近いことをすると全然足りなくなります。米や小麦など主食のほか、バナナやトマトなど調理が必要ない果物・野菜に含まれています。ドライフルーツでもOK。
・リン
タンパク質と一緒に含まれている栄養素です。プロテインや玄米のほか、足りない場合はサバ缶で十分だと思います。
・炭水化物
自分に合った量を、好きなように。
強いて言うなら、小麦よりも米の方が腹持ちが良いです。
これからの課題
・ミネラルの安全&手軽な摂取
現時点ではサプリメントに頼っちゃっていますが、何度か書いている通り、摂り過ぎが心配な栄養素です。食品なら量を調節できるのですが、調理の手間がかかるものばかり。手間がかからず、より安全にミネラル補給できるレシピを思いついたら、また書き足します。
・サバ缶に頼り気味
「必ず使うもの」に入れてしまおうかと思うくらい、万能なサバ缶。
入れなかった理由は、苦手な人も多いだろうなー、と思ったからです。
サバ缶よりもクセが少なくて、栄養素が似ている食品があったらレシピに追加したいです。