明治の社長さんのインタビュー記事が掲載されている。
この記事を読んで驚いたのが、明治が販売していたお菓子の一つに「ポルテ」があるのだけれど、インタビュー中で
「ポルテはカールと違って非常に小さい商品。単品ベースだと数億円程度の売り上げで、あまり思い入れはないですね。東日本での終売直前にカールは40億円ありましたので」(本文より抜粋)
とバッサリ。カネにならないお菓子に興味はないらしい。これ、ポルテが好きだった人からすると「好きだったのにヒドい」「生み出した張本人である社長がそんなこと言うのか」ってなるし、実際に同じような感想がコメントにもちらほら。私にとっても他人ごとではない。明治の新鋭チョコブランドの一つ「The Chocolate」が大好きなんだけれど、この子の売上が振るわず「小さい商品」になれば、バッサリ生産中止になる可能性が高いという訳だ。
ただ、「お菓子メーカーの社長は、お菓子に愛がなくてはいけない」という決まりはない。むしろ経営者としてはお菓子はそこまで好きじゃない、くらいが第3者的な立場になりやすいので理想ではある。鉄道会社が鉄道マニアを採用しない、とはよく言われるけれど、人間は好きなものをどうしても贔屓目に見てしまうので、消費者としては理想であっても、経営者としては必ずしもプラスに働かない。だから、明治の社長さんは何も間違ったことは言っていないし、利益にならないお菓子が負債化する前にさっさと生産を止めるのも資本主義的には正しい。正しいんだけれど、売れなくなったブランドを新しいブランドに切り替え続ける経営手段は、「ロングセラー商品の多い」菓子メーカーの雄である明治のイメージとは反する。イメージと反するということは、消費者の希望と反する。カールが生産中止になったときにネットに溢れた声はカールを惜しむものばかりで、それが明治社長の選択に対する消費者の答えなんである。この社長の経営手段と消費者の溝をどう埋めていくかが、明治さんの今後の課題になっていくのかもしれない。
と、明治社長が菓子好きでないということ前提で話を進めていたけれど、逆に菓子に愛があるからこそのブランド厳選、という見方もできる。インタビューで「総合食品みたいな会社になってはいけない。」と発言していて、食品メーカーとは違うんだぜというプライドにも受け取れる。正直、このインタビューだけだと社長の印象が悪いので、そのあたりも掘り下げて欲しかった。
カネを優先するか、歴史を守るのか。資本主義って難しいね。