セミリタイアするまで非正規

正社員になれないことが分かった三十代。労働者のままでは死にかねないので、非正規のままセミリタイアを目指している、色んな意味で駄目なヤツ。

ふるさと納税の非金銭的なデメリットとか

www.furusato-tax.jp

 

今どきの節約家なら一度は耳にした、いや実践を考えたことがあるであろう、ふるさと納税。フル活用すれば2000円の実費負担で好きな地域を応援できる…という触れ込みで始まったと認識している。

しかし、ただの納税ではなく返礼品付きとしたことで、現状はこんなかんじだ。

 

www.nikkei.com

2019年12月の記事。2019年にふるさと納税の仕組みが改正され、「返礼品は還元率30%以下」「返礼品は地場産の物品に限定」というルールが追加された。その発端の一つとなった自治体が大阪府佐野市(上記2つに当てはまらない返礼品は他の自治体でも展開されていた、念のため)が、地域振興のために本来受け取れるはずの財源を国から受け取ることが出来なかった。本末転倒である。

 

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https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/file/report20190802.pdf より)

本末転倒と言えば、総務省のこんな資料があった。ふるさと納税にかかった費用だ。地域応援(という名目)で納税された金額のうち、約42%が返礼品のために使われている。返礼品の用意に税金を使うことは本来の趣旨からは外れているハズなのだが、実際に納税する側がこれを問題視しないということは、そういうことなんだろう。

関係ないが、この資料は総務省が書いたものだけど読みやすい。全部こんなかんじで書いてくれればいいのに。

 

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https://www.furusato-tax.jp/rank?header より。2020/4/14時点)

最初のリンクにも挙げた『ふるさとチョイス』の直近のランキングはこんなかんじで、食品が上位。これは去年以前も一緒で、食べ物が圧倒的に強いことは変わっていない。ただし。

 

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https://www.furusato-tax.jp/rank?header&cat=136 より。2020/4/14時点)

雑貨・日用品に限ると、世相を反映しているというか、近所のドラッグストア化しているというか。地域応援のための納税なのか、節税のためなのか、切羽詰ってなのか、もう判別ができない。ちなみに、全体ランキングで見ると2位のティッシュが21位に来ている。1位のマスクが何故か出てこないが、少なくとも20位以上。ティッシュは去年もそれなりに人気があったみたいだけど、マスク人気は地域応援ではなく、コロナの影響だと考えざるをえない。

 

 

こんな現状を聞いていたので、貧乏非正規のくせして、ふるさと納税による節税(節約)はやっていなかった。私が実際にお世話になっているのは、私が今住んでいる地域なのだから、税金だってそのために使うのが筋だ。自分の住んでいる地域が荒れ果てたときに、困るのは自分だからだ。

それでも2000円で色々と貰える魅力は大きく、「親が住んでいるから」「旅行してみて気に入ったから」「セミリタイアした時に住みたいから応援ということで…」という理由でふるさと納税を使いそうになったことは、正直ある。昨日だって「財源豊富な都内より、コロナで困っている地域を助ける方が良いんじゃないか、今年一年だけでも」と思って納税先まで探してみたのだけれど、結局やめた。なにか違う、なにか納得できない。理由を考えて見つけた答えは「ふるさと納税本来の目的と、自分の目的が喰い違っているから」。親が大事、気に入ったから住んでみたい、コロナの応援をしたい。全部言い訳だ。返礼品がなければ、つまり自分の得にならなければ、そんなことは考えもせず、寄付すらしないだろう。他人や余所の地域を盾にした己のエゴでしかない。「私は都内に引っ越してきて、便利だし食べ物は美味しくて安いし、けっこう気に入っています」こんな当たり前のことが言えなくなる。それに気が付いて、けっきょくは辞めた。

ふるさと納税は往来の税制度を捻じ曲げている」という意見を多数見かけたが、その言い方が一番しっくりくると思う。

 

ふるさと納税を使う人を、悪く言ったり思ったりするつもりは毛頭ない。せっかく国が用意してくれた節税制度で、当の自治体だって承知の上で参戦しているのだから、使えるもんは使うべきだ。

それでも個人的には、ふるさと納税は使う人に条件を付けるべきだったと思う。大学進学や単身赴任で一時的に地元を離れているだけで、用が済めばUターンするつもりで、今住んでいる地域には何の愛着もない、という人にはピッタリな仕組みだ。というか、本来はそういう目的で設けられたはずだ。もっというなら、そもそも「ふるさと納税のランキング」という言葉自体がおかしい。応援したい地域なんて人によって違うんだから、本来ならランク付けできるものではない。

ということで、私の今年の住民税は全て東京に流れていきます。

 

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