セミリタイアするまで非正規

正社員になれないことが分かった三十代。労働者のままでは死にかねないので、非正規のままセミリタイアを目指している、色んな意味で駄目なヤツ。

『三体』を読んだ

 しばらく『三体』を読みふけっていた。図書館で1部~3部まで全部借りて、2週間くらいで読了。

 地球が宇宙人に侵略されたり攻撃されたりする話だけど、地球外生命体の文明や技術はもちろん、宇宙的危機下に置かれた地球の技術や生活はどうなるのかっていう作者の想像全開でとても面白かった。宇宙人の兵器にはエグいものもあるけど、こうした未来技術の何割かでも今すぐ実現したらなあー、という妄想に浸れて楽しい。

 ただ、時代が目まぐるしく変わって新しい生活様式や技術が登場するたびに宇宙や科学の専門用語&造語ズラズラの説明が数ページ続くのが、ちょっとしんどい。まあ、意味不明だったら斜め読みでなんとなーく理解した気になるだけでも、十分面白かったです。そもそも、タイトル『三体』の由来である三体問題が何なのかも、難しすぎて分からないし(笑)。

 

 作中の地球人は、時代によって色んな生活様式や常識や思想が出てくるけど、根っこの部分は大して変わってなくて、絶滅しそうになったら群れて暴れるか神様(宗教や特定の個人)にすがるかで、けっきょく一番強いのは愛だよね、っていうお約束展開も、『三体』特有の世界観でキチンと踏襲されている。

 

 一方で、感情移入できたり印象深い登場人物も出てくる。まずは、人類に幻滅した葉文傑。『三体』は中国の文化大革命から話が始まるんだけど、葉文傑はそれを生き延びた優秀な科学者なんである。文化大革命を知ってれば、何となく彼女の行動も理解できると思う。何となく、だけど。日本人は経験してないからね。

 2部の主人公である一般人(!)の羅輯(ルオ・ジー)も好き。あまり多く書けないけど、登場人物の中では一番親しみやすかった。

 あと、前半は主人公の危険を何度も救う警察官である史強(シー・チアン)がいるし、後半も主人公を友人として支える艾AA(アイ・エイエイ)がいる。(主人公は1部、2部、3部でそれぞれ違う)時代が変わっても変わらない心強さ。

 恋した女性を最後まで大事にする雲天明(ユン・ティエンミン)は、最初から最後まで切ない。最後の場面は「えーー、これで終わっちゃうの!?」ってなった。

 

 人口が激減したことで地球が楽園に近づいた、という表現が何回か出てくる点も印象に残った。

 私は普段から「地球の人口、多過ぎない?」と思っているけど、政府や富裕層を始めとする人間の大多数にとって、人口が減るのは悪である。(生物だから当たり前なんだけど)

 だから、人口が減ることで実現するユートピアというものに興味があったので、もしかして『三体』作者にも同じような構想があるのかなー、と思った。

 

 

 いやー、SF小説って面白いね!

 宇宙や未来という広大な視点で想像力を刺激されるのが溜まらない。

 過去の名作では、どんな世界観が展開されているんだろうか… 気になる。

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